招待講演

招 待 講 演

 

「技師に求める消化管画像とは」

東京都保健医療公社 東部地域病院
浜田 勉 先生

司会 札幌厚生病院 山田 泰司



I. 撮影者が異常を認識している画像を撮影
読影において診断につながるX線像を求める。しかし、決められた撮影法を行えば病変が自動的に写ってくるわけではない。また、誰がやっても同じ写真ができるわけではない。 撮影技術の差は必ず写真に表われる

1.検査中に病変を探している
2.X線写真上に異常像を描出している
 (1)明らかな異常所見を捉えて、描出する。
 (2)わずかな異常所見に気づいて何枚か写真を追加する。
 (3)写真にマークか所見用紙でチェック部を記載する。
3.撮影者の責任の大きさを自覚している
この積み重ねこそ癌発見の精度を向上させることができる。

II. 所見の描出を困難にしている理由
1.患者さん一人一人の胃の形や動きが異なる
  自分の思うような撮影を可能にするため、患者とのコミュニケーションを確実に行う。一方的な指示ではなく 、患者に分かりやすいアナウンスを心がける。
2.病変を探す上で、バリウムの付着や撮影の難しい部(噴門、前壁)がある
 (1)前壁病変    1)主に大弯の二重造影になる傾向がある。
   2)空気量が多い像になりがちなので、胃小区異常を捉える。
 (2)後壁病変
   1)空気量の調節
   2)そして、空気量の調節加減の弱点をカバーする圧迫像。
 (3)噴門部は描出不良になりやすい
   1)バリウムの付着不良はよくある
   2)噴門部では圧迫のできないし、空気量が少ないと読めない。
3.撮影者の撮影技術に差がある

III. 画像のブラッシュアップの方法
定期的な検診していて進行癌で発見された症例の検討し、その経験を次に生かすことを心がける。
  (1)以前の検診でのX線画像で形態的変化が読みとれるか
  (2)何が見逃された理由なのか
  (3)その後の検査や読影にそれが生きたか
見逃しやすい所見を実際の症例から学ぶことが重要である。

最後に、病変の描出を左右するのは撮影者の技術と熱意が必要であることをあらためて強調したい。 そして、学会、講演会や症例検討会に努力して時間を割いて継続的に参加し、 そこで示される研究や症例の経験を積み重ねて、明日の検査に利用していく。 そうすればX線検査を担う者としの真の力が養われるだろう。